■製作
監督:三島有紀子
原作:桜木紫乃「硝子の葦」
脚本:永田優子
■主な出演
相武紗季、小澤征悦、奥田瑛二、中村ゆり、森川葵、渡邊このみ、小林且弥
■あらすじ
湿原を遠くに臨むラブホテル「ホテルローヤル」のオーナー・喜一郎と妻・幸田節子は親子ほど年齢が離れた夫婦。ある日の午後、顧問税理士であり不倫相手でもある澤木昌弘と会っていた節子のもとに警察から喜一郎が運転する車が事故に遭ったという知らせが届く。医師によると、脳の損傷がひどく回復の見込みはないという。そこへ実母・藤島律子がやってきた。奔放な律子は実は喜一郎の元愛人。幼少期に虐待を受けて育った節子は律子を激しく憎悪している。律子が節子に喜一郎の秘密を打ち明けたとき、節子の中で抑え込まれてきた闇が溢れ出し…。
■感想
全4話。
人間関係が複雑。そんで、どの人も不幸。ここまで不幸な人が集結するってなかなか無いと思うけど…。
官能派ミステリーというだけあってラブシーンは多め。山下智久主演の月9ドラマ「ブザービート」以降、悪女役がどっと増えた相武紗季が本作では脱ぎまくります!!
といっても大事なところは見えず、生々しさや艶かしさも無いので、誰かと一緒に観たとしても気まずさはないかも。(←あくまでも主観なので自己責任でお願いします。)
だが、それはもしかしたら主人公・幸田節子(相武紗季)が愛することも愛されることも知らずに育ち、感情を押し殺して生きることが当たり前になっていたからかもしれない。
誰が相手でも淡々と、感情を露わにすることもなく抱かれてきた。それは、憎き母・律子(多岐川裕美)の歴代の男たちだったり、自分を愛してくれる者だったり。
もともとは律子の愛人だった幸田喜一郎(奥田瑛二)と結婚したのだって律子を苦しめたいからでそこに愛などなかったのだ。
しかし、喜一郎の事故ですべてが狂い始める。脳の損傷がひどく回復の見込みがない、病院のベッドで横たわるだけの夫のもとへ通う日々の中で、第三者から喜一郎の自分への想いや秘密を明かされる。
そんな中、DV夫・佐野渉(小林且弥)に虐待されながらも幸せな妻を演じる佐野倫子(中村ゆり)と娘まゆみ(渡邊このみ)と関わることになり、喜一郎の2番目の妻の子・幸田梢(森川葵)を巻き込みふれあうことで、節子の中で何かが変わっていく。。。
たった4話しかないというのもあるけどスーッと引き込まれるように観てしまった。DV男の虐待やら何やらで胸糞悪くなる場面も多いが、ドラマとしてふつうに面白かった。
桜木紫乃の作品は一作も読んだことがないけれど直木賞作家なんですね。読書したい波がやってきたら読んでみようかな。
しかし、ミステリーとしてはどうなんだろう。いや、ミステリーとしてこの展開はアリだと思う。なんとなく読めてしまう展開ながらもラストシーンではそこそこ驚く。やっぱりね…という確認込みだが。
何しろ、トリックが明かされないのでね…。
「節子が放火してからラストシーンに至るまで」の描写がすっぽり抜け落ちているので、それじゃ単なるご都合主義じゃないか、と思うわけ。
だって物理的に不可能な気がするので、どーやったらそのラストに持っていけるの?と素朴な疑問が湧く。なのに、その答えがないというね。
それに、そもそも、2ヶ月も経過している死体を隠していたら匂いが漏れたりしそうだから、その場所に招かれた澤木昌弘(小澤征悦)が全く何にも気づかないってのは不自然な気がする。
…ということで、最後の最後でなんだかなぁーとなってしまう。でも…、